処方が固まっても、名前がなかなか決まりませんでした。
商品というのは、中身がどれほど良くても、名前がしっくりこないと世に送り出せない。そんな気持ちで、ずっと考え続けていました。
そんな折、フランスを旅していました。
モンサンミッシェル寺院へ向かう道の途中に、小さな教会があります。ジャンヌダルクゆかりの教会でした。何気なく足を踏み入れたそのとき、まるで祝福するかのように、鐘の音が鳴り響いたのです。
その音が、頭の中いっぱいに満ちていく感覚がありました。
「これだ」
理屈ではなく、そう感じました。
ジャンヌダルクの気高さ、そして凛とした強さ。それは、このオイルを使う女性たちに感じてほしい在り方と重なるものでした。
そこに「d’Or(黄金の)」という言葉を添えました。タマヌオイルそのものが、黄金に近い色をしているからです。ジャンヌの気高さと、オイルの黄金色。ふたつの「黄金」が重なり合って、Jeanne d’Orという名前が生まれました。
名前が決まると、次はパッケージです。
私が思い描いたのは、華やかな化粧品売り場の一角ではなく、名もない小さな薬局に、そっと置かれているような小瓶のイメージでした。声高に主張するのではなく、静かにそこにある。見つけた人だけが、その価値に気づく。そんな佇まいです。
ラベルには、あえて質感のある紙を選びました。オイルのついた指で触れると、じんわりと沁みるような紙です。使うたびに残る小さな痕跡――それすらも、この商品を育てていく「味わい」になり、どこか魔法めいた雰囲気を生んでくれると考えました。
そしてラベルに描いたのは、ゼラニウムの花を手にしたジャンヌの姿。処方に込めたローズゼラニウムの香りと、名前の由来となったジャンヌ、そのふたつが一枚のラベルの中で静かに重なっています。
名前も、香りも、パッケージも、一つひとつがバラバラに決まったわけではありません。すべてがひとつの物語として、自然に繋がっていきました。
次回は、いよいよ最終回。Jeanne d’Orの使い方と、発売に向けたお知らせをお伝えします。

