先輩の缶の中身。20年前に教わった、豆を煎ることの話。

商品の話

エステティシャンになって間もない頃、私は本社付の教育部に所属していました。

全国展開しているサロンチェーンだったから、住居近県のサロンへ赴いて技術や接客を教える「インストラクター」の仕事。月に一度、月末になると全国から教育担当者が集まり、上司や先輩を相手に模擬講義を行ったり、自分の技術を見直したりする——そんな合宿のような日程が定期的にあった。

その際は寮に泊まり込む。精鋭が揃う中での共同生活は、業務のことだけじゃない。立ち居振る舞いから言葉遣いまで、生活の所作すべてにご意見をいただける環境だった。

今となっては本当に貴重な経験だと思う。でも当時は気が抜ける瞬間がほとんどなかった・・と正直に言っておきたいです(笑)。

「エステティシャンプライド」という空気があった

20年前のエステ業界は、今よりずっとシビアな時代だった。エステはまだ本物一部の方の楽しみ。
「高級嗜好品」という位置づけで、それを担う私たちには当然のように高い品格が求められていた。

先輩方の「エステティシャンプライド」は、それはもう並々ならぬものがあった。今の私よりずっと若いはずなのに、記憶の中の先輩方はいつも毅然としていて、今もどこか遠い存在のように映っています。

だから当然、業務中にお菓子を食べるなんていう選択肢はなかった。

缶の中から出てきたもの

体も、頭も口も動かし続ける仕事だから、何か自分を許せる・・口にするものが必要なのも事実。

そこで先輩たちがとっていた方法が、豆を煎ること。大豆や黒豆を自分で丁寧に煎って、小さな缶に詰めて本社へ持参する。「お茶を飲む」という名目で、その煎り豆をひとつまみ(と言いつつ延々と)口にしていた。

高級感があって、品がある。しかもちゃんとお腹に入る。まさに「エステティシャンのおやつ」だと思った。

あの缶のことを、今でもたまに思い出してました。

その記憶から生まれた、黒豆茶

長年その記憶を持ちながら、ご縁が回ってきました。

産地にこだわり、丁寧に焙煎してもらった。使っているのは、新潟・長岡で育った丹波黒豆。地元の空気と水で育った豆を、信頼できるお茶屋さんが丁寧に煎って香ばしく仕上げてくれる。TARA SISTERのオーダー仕立て。丸い豆のままのカタチ。

飲んでみると、香ばしくて、やさしい。甘みがあって、豆の力強さが静かに残る。

カフェインが気になる夜や、ほっとひと息つきたいとき、体を労わりたいときに。先輩たちが缶の中に詰めていた、あの小さな知恵のような感覚で——ぜひ飲んでみてほしい。

— Nozomi ☺︎